今回は、以前…乗泉寺のホームページに掲載をした自分の記事を転載しようと思います。本当は新しい記事もゆっくりと書きたいのですが、寒参詣中でアレコレと忙しく、あまり時間がないのです(苦笑)。悪しからず。
以下…
ナナオサカキという詩人がいた。家を持たず、カネを稼がず、家庭も築かず、帰るふるさともなく、生涯のほとんどを旅して過ごした人である。
生前、何度か顔を合わせたことがあるが、非常におもしろいじいさんであった。
特に、3・11の東日本大震災と原発事故以降…彼の生き方と、その作品を思い出すことが多くなった。そんなわけで…今回は「ラブレター」という詩をご紹介してみたいと思う。私はこの詩が大好きなのです♪
ラブレター
半径 1mの円があれば
人は 座り 祈り 歌うよ
半径 10mの小屋があれば
雨のどか 夢まどか
半径 100mの平地があれば
人は 稲を植え 山羊を飼うよ
半径 1kmの谷があれば
薪と 水と 山菜と 紅天狗茸
半径 10kmの森があれば
狸 鷹 蝮 ルリタテハが来て遊ぶ
半径 100km
みすず刈る 信濃の国に 人住むとかや
半径 1000km
夏には歩く サンゴの海
冬は 流氷のオホーツク
半径 1万km
地球のどこかを 歩いているよ
半径 10万km
流星の海を 泳いでいるよ
半径 100万km
菜の花や 月は東に 日は西に
半径 100億km
太陽系マンダラを 昨日のように通りすぎ
半径 1万光年
銀河系宇宙は 春の花 いまさかりなり
半径 100万光年
アンドロメダ星雲は 桜吹雪に溶けてゆく
半径 100億光年
時間と 空間と すべての思い 燃えつきるところ
そこで また 人は 座り 祈り 歌うよ
人は 座り 祈り 歌うよ