開導日扇聖人御教歌
「身にやまひ受しむくひも法華経の 見すて給はぬ逆縁としれ」
苦しみに出逢うたびごとにこれは仏さまが私たちをお試し下さっているのであるからここを乗り切れば本当の幸せがやってくると、強く明るい気持ちを持つことが大事であるとお示しのお歌です。
苦しみの中でも、病気は最たるものの一つですが、病気のおかげで命が助かった人もあります。
西南戦争で薩摩に逃げ帰った人を追って、1人の密偵が侵入しました。ここと目星をつけてある家をはりこみ、今日こそ逮捕という時になってひどい下痢を起こして、7日もの間病床につく始末に、のがした手柄をくやんで、大いに愚痴を言ったことでした。
ところが先方では、あまりにしつっこく追い回されるのに業をにやして、今日こそ密偵を殺してしまおうと親類を集めて待ちかまえていたということで、病気にかからなければ、すんでの所で命を落とす所だったのです。
こんなドラマチックなことは数少ないとしても、体が弱いために体を使う仕事から、頭を使う仕事に変わって成功した人もいます。貧乏のおかげで子供に自立心がつき、後半生幸せになった家族もあります。
要は愚痴ばかり言わず、なんでも明るく受けとめて、死中に活を求める生き方をすると、かならず仏さまがお守り下さるのだと確信させていただきましょう。
(前進 昭和58年5月号より)