開導日扇聖人御教歌
していけばでけていくものでけぬとて
やめたらやめただけのびんばふ(貧乏)
貧乏で苦しいからと、ヤケを起こして仕事をやめてしまえば、余計貧乏になります。どんな事でも根気良く続けていけばかならず芽がでるもの。世法も仏法も同じとお示しの御教歌です。
仏さまのお譬え話ですが、昔竹ヤブの小動物に招かれてお客となったオウムが、いざ家に帰ろうとする日に、竹ヤブが大火事になりました。オウムは、自分の翼をぬらして、その水で火を消そうとしたので、仲間がその無茶をとがめると、「ご恩返しのために、この一生で火を消せなければ、生まれ変わってもかならずやりとげます」と答えたので、天の神が感動をして、雨を降らせたと説かれています。
生まれ変わっても初志を貫こうとしたオウムの話はお話の美化としても、私たちのまわりには、あまりにも続けることの不得手の者が大勢います。職業にしても、2~3年で仕事を変えていれば、いつまでたっても熟練者になれませんから、こちらの要求を通すことができません。
お看経にしても、1月や1年でやめてしまえば、水虫に薬をぬるようなもので、なおったと思うところから再発するように、罪障がまたたくまに出てきてしまいます。「信心は持つにあり」で、根気よく続けること、これが諸願成就の道です。(前進 昭和57年8月号)